2007.08.06 Monday
シュリーマン旅行記清国・日本 (講談社学術文庫 (1325)) : H.シュリーマン
著者:H.シュリーマン
みんなのおすすめ度 (5点満点):5.0 点

内容紹介:
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junior-san さんののおすすめ度 (5点満点): 14 点
自らで育んできた文化はどこへ・・・。
まず何よりも日本人でもなく、過去につきあいの長かったアジア系の国の人でもなく、
<br />ヨーロッパという全く文化の異なる国の人による江戸時代の描写というのは非常に
<br />貴重である。さらにシュリーマンは数多くの国を訪れた経験があり、話す言語も各国の間
<br />を行き来しやすくなり、学ぶ機会が増えた今でさえそんなに話せるのかと思うほど多言語
<br />を話すことができ、異文化に触れることになれた人である。そのような貴重な資料が手軽に
<br />読めることにまず感謝したい。
<br />
<br />シュリーマンは奇異に感じたことはばっさりと批判しているが、だからといって中国の文化を
<br />すべて否定するわけではなく、劇場での劇のすばらしさ長城から見た景色の雄大さは世界でも
<br />一番だとしている。文化に体当たりで触れてみて素直に自分の育ってきた文化との違いや感情
<br />を表現している点が、彼の視点からのありのままのアジア文化を表現していておもしろい。
<br />
<br />日本はその清潔さもあり批判的、否定的な記述はほとんどなくべた褒めされているような気分に
<br />なり少し嬉しかった・・・が何とも皮肉なことに褒められた当時の文化は今の押しつけられた
<br />文化ではなく、自分たちで長年育んできたありのままの日本だということがいかに現在の日本が
<br />文化的に廃れてしまったか、とうことを認識させた。
<br />
<br />それに関連して西洋文化を結婚までも”モノ”に支配されていると批判している点は非常に
<br />興味深い。日本があまりの家財道具や土地等のいわゆる”モノ”を必要とせず、かといって
<br />芝居や工芸品はよいものがあり、人々が豊かに生活していることに強い衝撃を受けたのだろう。
<br />
<br />
<br />シュリーマンは不正確なものもあるが数字を使い身の回りのものを記述している。
<br />それは自らの記憶を鮮明にしたかったのか、考古学的にも数字で記述しておいた方が後生の役に
<br />たつと考えたのか、どちらにせよそれにより現実味をおびている。
<br />
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シュリーマン旅行記清国・日本 (講談社学術文庫 (1325))
