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@速読書事典

速読や読書術・書籍の大百科事典です。
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新訳 星の王子様
新訳 星の王子様 

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ/作 倉橋由美子/訳



この本は大人による、
大人のための小説だ。

子供が読んでも、この本の真意は汲み取れまい。


まず、
僕自身がこの本を今更ながら
読もうと思ったきっかけは、水彩を使ったイラストだ。

挿絵に多用されている
テグジュペリ自身によるこのイラストはいつ観てもよいもんだ。


洗練されては、いない。

イラストは素朴。
肩の力の抜けたタッチ。


この本を買ったのはイラストを
「眺める」だけのつもりだった。


それに、随分昔、子供の頃に読んでいたので、改めて読むつもりはなかった。


しかし、電車内で暇を持て余していたおりに文章を読み、
この本が読むべき対象を制限していることに気づく。


ちょっと驚いた。

これは、子供が読んでも、真には理解できるものではない。

僕自身が感じた通りの、

ステキなイラスト、
王子様が遍歴する星々で出会うキャラクターたちとのやり取り、

「大人って変だ!」という直裁かつ無邪気な気づき。


子供の読者にもそういった部分から共感を得られはず。

実際子供の時の僕自身、この本は大人の矛盾を問題提起してる物語…、と解してた。


実際は違う。

この本の冒頭にも作者自身が断っているとおり、

「この本はある大人に捧げたいと思う。」


その通り。

パイロットである大人が、
危機的状況に陥り、「子供」と出会う。

絶望的な死の危険に晒された状況で、
「羊の絵を描いて」と唐突にお願いする「子供」。

パイロットである大人の「私」の中にあった「子供」の現前だ。


「単なるフィクション、物語に過ぎないじゃないか?「星の王子様」だろう?」

食わず嫌いは、もったいない。
ここまで多くの人に読まれるのにはワケがある。


自分の中に「子供」の部分に気づいた大人の私が、
砂漠から生還しようとする際に星の王子様である「子供」と

どういう風に向き合わねばならないのか?

また、王子様が星々を遍歴していく中で、
支配しようとする王様、バラとの対話、狐からの教訓は、


何を意味しているのか?

隷属?愛憎?人生哲学?


王子様の旅は永遠に終わらない。


我々の中に

「大人になりきれない子供」
「大人に反発する子供」

が問いかけてくる限り。


リアルワールドで、

自己内の「子供」の存在を封じ込めながらも

アクティブにガツガツ働いている甘えを断ち切った大人たちに、
(じっくりと)読んでほしい小説です。

退屈な啓蒙本などよりも
よっぽど価値のある読書時間が過ごせるはずです。


この本はアマゾンでは買わずに近所のなじみの本屋で買って下さい。
この本は、そういうことを、我々大人が気付かない大事なことを要求しています。

ですから、この記事に関してはアフィリエイトはなし。

切にお願いします。
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