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@速読書事典

速読や読書術・書籍の大百科事典です。
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「羊」をめぐる冒険!!!!!!!〜僕と「僕」と村上春樹さんと〜
僕の大好きな作品。
凄くエンターテインしてると思います。
また、この物語は「自我の成長」という文脈でも読み取ることが出来ます。
(近代日本の成長の縮図、という文脈で捉えるのもいいでしょう。)

まあ、難解で不思議な世界観は顕著ですねぇ。
ストーリーは単純ですがより深くメタフォルを読解するのがムツかしいし、また、興味深いところでもあります。

前二作に登場していた「鼠」の消息もこの作品で、…はっきりします。(これ以上読むと小説のネタバレの危険がありますんで、ご留意下さいね)




…ベアビールの凡庸な分析…

……「鼠」とは「僕」と似て非なる ドッペルゲンガー の様なものだと思います。
10代の「僕」自身の記憶ですね。

物語後半で鏡と対峙して主人公の意志の所在が曖昧になるシーンがありますが、とても象徴的だと思います。

ユング の言うオルターエゴの領域ですね。
精神の世界の描写は、ええ、逸脱です。

羊男も、戦争を知る上の世代の記憶やら、何やらを凝縮し閉じ込めた「媒体」という存在に解することも出来るかと思います。

だから、羊男はワケの解んない着ぐるみのような格好でいらだったり、動物のように主人公が押しては身を引いたり、主人公が引いたら逆に寄ってきたりするんだと思います。


まるで物語前半に登場してくる広告産業そのものですね、羊男は。
とてもキャラクタライズされた存在だし…。



じゃあ、北海道の鼠の父親の所有だった別荘は何を意味するのでしょう。


居心地のよい住処だというのは、小説を読めばすぐわかります。
(→これを子供期のモラトリアムと解します)

でも、一歩外を出たら、人の住める場所ではないぐらい、厳しい環境だとわかる。
(→これをキビシい世間の荒波と凡庸に、解します)

それを、主人公は(彼と親しい人間で構成される)周囲の要請で爆破することを余儀なくされる。
(→人生の転換点、と解します。そこには感激も誇張もなく、ただ、通り過ぎるのみ)



主人公はお茶会に集まる、特殊な羊も、黒服の男も、既に死んでしまった鼠も、まとめて爆破することになっちゃいます。

→何を爆破したのか。
邪悪さや、欲望やらの人に取り憑きまとう、禍々しいものです。
ここに「鼠」の10代の記憶を包含するのは可能です。
彼の生い立ちは前二作で既に詳細に記されてます。
まるで資本主義社会の縮図のような、お金にまみれた記憶がそこにあります。

しかし、「僕」は資本主義的報酬を手に入れて、ジェイズバーに寄ったあと、川辺で泣いてしまいます。

すべてを爆破したのでもなく、鼠が羊に取り込まれかけた際のきっかけになった「弱さ」の余韻がエンディングに流れています。

しかし、もう「僕」は後戻りできない。
歩き出さなければならない。
悲壮感と疾走感の綯い交ぜになったような、優しい余韻。
不思議だな。

PS:耳のステキな女の子と別れてしまうことになってしまったのは残然だけれど、結局は理不尽に「僕」が追い返したも同然だ(この耳をイメージするだのはとても楽しいことだった)。

やっぱり身勝手だなぁ、主人公。


でも大好きな物語ですね!

羊をめぐる冒険


| 速読家の読書感想 | 19:33 | comments(0) | |