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@速読書事典

速読や読書術・書籍の大百科事典です。
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村上春樹 /螢・納屋を焼く・その他の短編
村上春樹さんの短編集ですね。
その中の「納屋を焼く」について…。

僕は村上春樹さんの作品の中で一番、不気味で不吉で狂気に満ちた作品は「納屋を焼く」だと位置づけています。


主人公が、女友達の彼氏と知り合い、その男の奇怪な癖、他人の納屋を焼くという行動に翻弄されるお話…。

ある日、男が「近すぎるんですよ」と零した納屋を焼いた事実を知らされた後、女友達の消息はこつ然と途絶えてしまう。

納屋を焼く…、というのがこの短編のミソで、そこには暴行、殺人、強姦といった人間の存在を否定する破滅というメタファーが隠されてると思います。
だから、女友達は彼氏に、こっぱみじんにされた、唐突に、突然に。
と考えるのが自然でしょう。


決して思いつきの推論ではないです。
短編冒頭の女友達の「蜜柑むき」のパントマイムの描写から…ないものをあたかもあるがごとく見せる、見えないものを見つめるという読者の姿勢も軽く示唆しています。
ヨハン・シュトラウスのワルツがかかったときに男が納屋を焼くという行為を告白するシーンとか、イスラエルの法廷の刑の執行の方法の選択に触れるシーンなどからも破滅のデコレーションは冒頭部にもたくさんちりばめられています。

現実感が希薄な所がまた、イヤ〜な感じですね。
この納屋を焼く男の肖像が、ニュースで耳にする事件といやにリンクするんです。

男は生きている。
主人公は傍観している。
そして…この世界において納屋は今も燃え続けている。

他の短編もいいです。

「蛍」はノルウェイの森のプロトタイプですね。
こちらは瑞々しくも痛みを含んだ作品です。



螢・納屋を焼く・その他の短編


| 速読家の読書感想 | 12:04 | comments(0) | |